- 佐藤 寿子
「イラストレーター安西水丸展」から感じる、成功体験を積むことの大切さ。
緊急事態宣言が明けましたね、私の大好きな美術館巡りも少しずつ再開しています。
今回、伺ったのは「イラストレーター安西水丸展」@世田谷文学館。

安西さんは、広告代理店、出版社での勤務を経て、独立。
デザインや挿絵を担当するイラストレーターとしてではなく、小説、漫画、エッセイなど
多彩な方面で活躍した方です。
様々な出会いから、人生を切り拓いていかれた方なんだなとも感じました。

彼の丁寧な仕事ぶりには目を見張るものがあり、
実際の絵コンテや作業風景の映像を見れて楽しかったです。
村上春樹さんとの強力なタッグも晩年まで続いていることや、著名な方とのお仕事も多く、
誠実な仕事ぶりや人柄に多くの人が魅了されていたことが分かります。

↑上部の「読者のための村上春樹の描き方」なんて!シャレがあって、面白いですよね。

↑こちらは、和田誠さんとの2人で描いた絵。
2人展で出た作品のようです。他にも違ったテーマで描き分けていたり、
1つしかないもの(途中の作品)の展示もありました。
旅をテーマとしたコーナーもなかなか見ごたえがありました!
安西さんは様々な仕事をされてきましたが、一貫してご自身のことを
「イラストレーター」と言われていたようです。
それは幼い頃の成功体験と関係がありそうです。
そのルーツを辿るにはこちらの「校内水泳大会」のポスター。
小学生の頃に描かれたものです。

今でも通用するくらい、POPで可愛いですよね!
このポスターが校内で表彰された時に
将来の道「イラストレーター」を志したようです。
小さい頃の成功体験、自分を肯定できる機会を自らの手によって得られたことは
後々の人生に大きな影響を与えるのだなと改めて感じました。
小さい頃ではなくても、自分自身で認められることは
何を決断する際にも大きな力になりますね。
最初からその経験が成功体験になるかは、
蓋を開けてみないと分からないですが小さいことでも、
チャレンジしてみることは今の私たちでもできることですね。
何かチャレンジしてみたいことはありますか…?
失敗も成功体験への1歩になるかと思います。
余談ですが、安西さんは、小学生までいた南房総の千倉をこよなく愛していて、
「大事なことは海に教わった」といった言及もありました。
確かに東京やパリなどには多くの芸術的なものに触れ合う機会は多いかと
思いますが、自然の中でも受け取る側に豊かな感性があれば、
そんなことは機会損失にもならないということなのかなと感じました。
すごいですね!
会期は延長して、9月末までです。